2025年8月:最近読んだ本

最近読んだ本


熊が人を襲うニュースが後を絶たず、
夏の甲子園は沖縄尚学が優勝し、
石破茂首相は野党やマスコミから続投を半ば支持され、
しっかり酷暑となった2025年8月。

読んだ本は以下のとおり。




『思考中毒になる!』

齋藤孝、幻冬舎新書、2020年

思考中毒になる! (幻冬舎新書)

お馴染みの齋藤孝氏。

定期的に本書のような「考える」ことをテーマにした本を手に取りたくなる。この類の本は数多く出版されており、私の本棚にも類書はそれなりにあるのだが、つい新しい視点や刺激を求めて買ってしまう。

著者の話のユニークな点は、何と言っても教育現場で得られた実践形式のノウハウだ。著者は大学教授なので、トレーニングする相手は大学生であるが、内容をアレンジすることで小学生、中学生、高校生にも充分適用できる。もちろん社会人であっても。

良いトレーニングを繰り返して習慣化することで、「思考中毒」を目指す。

引用
 要するに、考えている人は、インプットする物事を「自分ごと」として認識しています。「自分ならどうするか」を考えているから、インプットをアウトプットに活用できるというわけです。




『世界は利権で動いている』

著:島田洋一、扶桑社新書、2025年

世界は利権で動いている (扶桑社BOOKS新書)

著者は元々、福井県立大学の教授であったが、2024年10月の衆議院総選挙において日本保守党から立候補して当選。

世界はイデオロギーという(見た目に美しい)衣をまとった利権で動いている、という点を日本や米国の事例を上げながら説明されている。問題の捉え方として学ぶことが多かった。

また本書を通じて、米国のトランプ大統領、日本の安倍晋三首相の政治家としての闘う姿勢、自らの信念で大きな戦略を描き、それを実現していく凄みを感じずにはいられない。

引用
 マスコミを賑わすコメンテーターたちは、とかくイデオロギーで世界の「潮流」を説明し、「バスに乗り遅れるな」的な論を展開しがちである。政治家も例外ではない。しかし多くの場合、それらは危険な欺瞞であり、人々を間違った方向に誘導する。特定の勢力は利権を得ても、国全体としては衰退に向かうことになる。




『さらば財務省!』

高橋洋一、講談社、2008年

さらば財務省!: 政権交代を嗤う官僚たちとの訣別 (講談社 アルファ文庫 G 209-1)

小泉純一郎、竹中平蔵による郵政民営化を実現した当時のエピソードを中心に、政治家と官僚の関係性や、官僚の生態や習性、その思考回路を学べる書。

「自民党をぶっ壊す!」というメッセージで闘っていた小泉純一郎、政治討論番組で論敵と闘う竹中平蔵。当時のことはいまでも鮮明に記憶に残っている。

ひとつの時代であったと思う。

本書の後半には、第一次安倍政権の様子も記されている。20年ほど前の話であるが、その内容が色褪せないのは、いまも当時とあまり状況が変わっていないからなのか。

引用
 大がかりなプロジェクトを指揮する者に必要なのは、最善のパーツ、考え方を組み合わせ、まとめあげる能力である。リーダーが自分の考えに固執すると、プロジェクトは往々にして暗礁に乗り上げる。自分の考え方にとらわれず、すべてを吸い込み、まとめ上げるカオナシ竹中は、構造改革という国家的プロジェクトの先頭に立つにふさわしいリーダーだった。




『非社交的社交性』

中島義道、講談社現代新書、2013年

非社交的社交性 大人になるということ (講談社現代新書)

哲学者・中島義道氏による書。

これまでにも中島氏の著書は何冊か読んでいる。初めて読んだのは20年以上前であったが、そのときから著者の言葉の選び方(操り方?)、文章の作り方が上手いことに感動していた。

社会や周囲の人との価値観のずれや、日々感じる違和感を、言葉を巧みに操り、見事に言語化する。哲学者は言葉が使えないと(言葉のプロでないと)成り立たない職業なのだと再認識させられる。

引用
「非社交的社交性」とは、含みのあるカントの言葉である。人間は「社会を形成しようとする性癖」と「自分を個別化する(孤立化する)性癖」の両面を持っている。つまり、人間はまったく一人でいることもできないが、といって他人と一緒にいると不快なことだらけである。その結果、誰も彼もが「どうにも我慢できないが、すっかり離れることもできない仲間」(『啓蒙とは何か』)に囲まれているというわけである。この現状分析が示しているように、カントは普通の「人間嫌い」ではない。むしろ、いかにして気に入った人のみ受け容れ気に入らない人を遠ざけるか、という「わがままな」課題に取り組んだのだ。思えば、これは私の生涯の課題でもある。


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